何が変わったか
韓国では配当は受け取るときに15.4%が源泉徴収され、利息と配当を合わせた金融所得が年2,000万ウォンを超えると、超えた部分が給与・事業所得などほかの所得と合わせて総合課税されます。総合所得税の最高税率は45%(地方所得税込みで49.5%)なので、配当を多く受け取る人ほど税負担が重くなっていました。2025年12月に国会を通過した租税特例制限法第104条の27は、要件を満たした「高配当企業」から受け取る配当を、ほかの所得と合算せず別の税率で課税してもらえるようにしました。2026年から受け取る配当に適用され、2028年12月31日を含む事業年度までに生じる配当が対象の期間限定の制度です。企業に配当を増やすよう促す企業価値向上(バリューアップ)政策の一つとして導入されました。
高配当企業の要件
条文は次の要件をすべて満たす韓国の法人を高配当企業とみなします。一つ目に、事業年度末の時点でKOSPI・KOSDAQの上場法人でなければならず、KONEX上場企業や投資会社など一部の法人は除かれます。二つ目に、直前の事業年度の配当が2024年の事業年度より減っていないこと。三つ目に、直前の事業年度の配当性向(当期純利益のうち配当に回した割合)が40%以上であるか、配当性向が25%以上で配当金が前々事業年度より10%以上増えていることです。そして会社は、定時株主総会で配当を決議した翌日までに、この要件を満たしたかどうかを開示しなければなりません。配当性向と増加率の細かな計算は施行令が定めます。
- KOSPI・KOSDAQの上場法人(KONEX・投資会社などは除く)
- 直前年度の配当が2024年の事業年度より減っていないこと
- 配当性向40%以上、または25%以上+配当金が前々年度比10%以上増加
- 会社が株主総会の決議の翌日までに要件を満たしたことを開示
税率の区分
分離課税を受ける配当(特例配当所得)には区分ごとの累進税率がかかります。2,000万ウォン以下は14%、2,000万ウォン超3億ウォン以下の区分は20%、3億ウォン超50億ウォン以下の区分は25%、50億ウォン超の区分は30%です。各税率はその区分に当たる金額にだけ適用されます。たとえば特例配当が1億ウォンなら、2,000万ウォンまでで280万ウォン、残り8,000万ウォンに20%の1,600万ウォンを足して1,880万ウォンで、これに地方所得税(所得税の10%)が別にかかります。政府案は最高35%でしたが、国会の審議で30%に下がりました。
- 2,000万ウォン以下: 14%
- 2,000万ウォン超〜3億ウォン: 280万ウォン+超過分の20%
- 3億ウォン超〜50億ウォン: 5,880万ウォン+超過分の25%
- 50億ウォン超: 12億3,380万ウォン+超過分の30%
誰に有利か
金融所得が年2,000万ウォン以下の人は、もともと14%(地方所得税込みで15.4%)の源泉徴収で課税が終わるので、この制度で変わることはほとんどありません。差が大きいのは、金融所得が2,000万ウォンを超えて総合課税され、給与・事業所得まで合わせた総合所得の税率区分が35〜45%と高い人です。この場合、高配当企業の配当を20〜30%で切り離せば税金が減ります。逆に、ほかの所得が少なく総合課税のときの税率区分が低い人は、2,000万ウォンを超える部分に20%がかかる分離課税がかえって不利になることがあります。総合課税には配当税額控除のような仕組みも絡んでいるので、金額が大きければ両方の方式を計算して比べ、税の専門家に相談するほうが安全です。
どうやって適用を受けるか
配当を受け取るときは、ほかの配当と同じく先に15.4%が源泉徴収されます。分離課税は、居住者が決められた手続きに従って合算除外を申請して初めて適用され、具体的な申請の時期と方法は施行令と国税庁の案内に従います。実務では、翌年5月の総合所得税の申告のときに金融所得を整理しながらあわせて検討することが多いでしょう。どの配当が特例の対象かは会社が開示した要件の充足で確認するので、保有銘柄の定時株主総会の頃の開示をチェックしておくとよいでしょう。証券会社が年間の配当明細で特例の対象かどうかを区分してくれるかも確認してみてください。
確認のときによく見落とすこと
要件は会社の直前の事業年度の数字で判断するので、毎年変わります。今年高配当企業だった会社が来年もそうだという保証はありません。また配当性向は純利益が大きく減ると自然に高くなるので、要件を満たしたことが会社の業績が良いという意味ではありません。条文は高配当企業の株式を持つ居住者がその企業から直接受け取る配当を対象と書いているので、ファンドやETFを通じて受け取る分配金が当てはまるかどうかは、施行令と国税庁の案内で別に確認する必要があります。最後に、税金を減らそうと権利落ち日の直前に買って配当だけ受け取って売る売買は、株価が配当の分だけ調整される傾向と売買の費用のために、期待したほど残らないことが多いです。
- 要件は毎年、直前の事業年度を基準にあらためて判断する
- 配当性向が高いことと業績が良いことは違う
- ファンド・ETFの分配金が当てはまるかは別に確認
- 権利落ち日前後の短期売買は費用が大きい
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「配当金計算機」に保有株数と1株当たり配当を入れると税引き前・税引き後の年間配当金が出て、税率の欄を15.4%と分離課税の税率(14%・20%などに地方所得税10%を上乗せ)に変えてみると、区分ごとの差を大まかに見当づけられます。「配当ヒストリー・配当成長分析」では銘柄の年間配当の合計と増加率が見られるので、配当が2024年より減っていないか、最近の増加幅はどうかを確かめる参考になります。ただし要件を満たしているかどうかの最終確認は会社の開示で行う必要があります。
限界と注意
この記事は2026年10月時点の租税特例制限法第104条の27の条文をもとに仕組みを説明したものです。配当性向の計算、申請の手続き、ファンドの分配金の扱いなどの細かな点は施行令と国税庁の解釈に従い、国会の議論によって内容や期限が変わることがあります。例の数字は計算の仕組みを示すための仮定です。この記事は特定の銘柄を勧めるものではなく、税務助言や投資助言ではありません。
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